世界観やシナリオ、キャラクターは評判通りの秀作。
ただし作り手のメッセージはエグイぐらい挑発的。
プレイ時間
39時間
スコア
- [ストーリー・シナリオ] : ★★★★☆ 4
- [キャラクター] : ★★★★☆ 4
- [世界観] : ★★★★★ 5
- [グラフィック] : ★★★★☆ 4
- [ゲーム性・ユーザビリティ] : ★★★☆☆ 3
[ストーリー・シナリオ]
私は周回やマルチエンディングというのが好きではありません。
未回収のイベントや複数のエンディングを見たいという想いよりも、ほとんど同じような物語をもう一度辿ることの苦痛のほうが勝ってしまうからです。
このゲームも1週目をクリアした後に周回することを勧められますが、私は大いに悩みました。他にもやりたいゲームはたくさんあるからです。
結論から言いますと、同じように悩んでいる人は3週目までプレイするべきです。
このゲームは3週目までプレイして初めて完全な物語を体験することができる作りになっています。
よく別のゲームでは、物語を別のキャラクターの視点から見せる時に、場面を切り替えたり、時間軸を巻き戻して一つの話の中で交互にキャラクターを切り替えて表現するといった手法をよく見ます。
しかし、このゲームでは、1周目は2Bの視点、2周目は9Sの視点、そして3週目はあのキャラクターの視点という作りになっていて、さらに3週目に至っては周回でも何でもなく、1周目(2周目)の続きの全く別のストーリーが展開されます。
せっかく素晴らしいストーリーなのに、私のように周回嫌いな人が1周目で断念してしまうということもあったと思います。そういう意味でこの”周回”という表現と手法は、この作品における最大のミスだと感じています。
2周目は1周目と重なる展開が多く退屈だと思いますが、最短で進めば1周目ほど時間はかかりません。
やりこみ要素も後からすべて回収できるため、2周目は最短ルートでの攻略をおすすめします。
そして3周目からはこれまでと全く異なる物語が展開するため、一気に面白くなります。
憂展開も多く、哲学的な演出も目立ちますが、世界観・シナリオ共に非常に質の高い作品です。
[キャラクター]
操作キャラクターは、女性型の「2B」と男性型の「9S」です。周回によって操作できるキャラクターは増えますが、ネタバレになってしまうので、詳細は自身で確認してください。
二人ともアンドロイドという設定なので、最初は感情移入できるかと心配していましたが、実際にプレイしてみるとその心配は無用なものでした。
冷静な兵士として振る舞う2Bと、対照的に饒舌で感情豊かな9Sの対比が印象的です。
最初は9Sのキャラクターが好きになれなかったのですが、3週目で見る目が変わると思います。こういうところは上手いですね。
洗練されたキャラクターデザインは長時間見ていても苦にならず、黒を基調としたファッションも非常に格好いいです。
[世界観・グラフィック]
SF作品ですが、これといって設定に矛盾は感じられず、非常に作りこまれた世界観です。
荒廃した世界を舞台にした殺伐とした物語ですが、ロボットたちのコミカルで滑稽な、それでいて人間を皮肉ったようなやり取りが、物語の緊張を和らげる要素となっています。
PS5のグラフィックに比べると荒さは目立ちますが、荒廃した街に植物が力強く浸食している世界が美しく表現されています。
[ゲーム性・ユーザビリティ]
戦闘は単純で変化に乏しいと感じたため、物語を重視して低難易度のオートモードでクリアしました。個人的には、強制的に挿入される横スクロールアクションやシューティング要素はテンポの悪さを感じてしまいました。
オートセーブではないのも減点です。手動セーブにしたのは、アンドロイドの存在の不確かさを演出するために開発者が意図した設計らしいのですが、プレイヤーの遊びやすさより演出を重視してしまうあたりに思想の強さを感じてしまいます。
とはいえ、アクションゲームとしての基幹部分は堅実な作りですし、やり込み要素も豊富に用意されているため、クリア後も長時間遊べる内容にはなっています。
[総評]
3周して初めて完結する構造は、「作品に対して忠誠心を示した者のみが結末を見られる」という作り手の意図が感じられるような気がしてしまい、この点は好きになれませんでした。
その他、真エンディングにおけるセーブデータの取り扱いを含め、作り手の思想が強く反映されています。プレイヤーに挑発的とも思える問いを提示する本作の設計は、賛否が分かれるところだと思います。
しかし、他に類を見ない体験ができる、記憶に残る作品であることは間違いありません。まだ体験したことがない人には、一度プレイすることをお勧めします。2Bの走る姿を後ろから眺めているだけでも買う価値はあります。

